いちおう論点は整理しておきたい 生活保護制度

さて、芸能人の親族が生活保護を受けていたとして、いろいろと騒がれることとなった生活保護制度についてである。
ちなみに、今回の件は「不正受給」では、まったくない。

まず、生活保護法について見てみることにする。

第一条  この法律は、日本国憲法第二十五条 に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

生活保護制度の根拠は憲法25条である。そして、その目的は2つである。
最低生活の保障と自立助長である。
とはいえ、年金が少なく暮らしが成り立たない高齢者に対して、これから「自立」は困難というものであるが。

第二条  すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

誰でもが「要件」を満たす限り、生活保護制度を利用できる。
なお、「国民」ではないものでも、国内にいる限り生活保護を利用できることは当然である。

第三条  この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

これは憲法25条から導き出される。
「健康かつ文化的」でなければならず、当然時代の進歩によって変化するものであろう。

第四条  保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
2  民法 (明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。
3  前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。


さて、今回の騒動ではこの4条をきちんと理解しないと、「不正受給」などという誤ったことを言い出すことになる。
「要件」は4条1項にあるとおり、資産や能力などを使ってもなお生活が維持できないという場合である。したがって、今回の騒動においては、芸能人の母親のもつ資産や能力が活用されたか否かのみで判断される。
続いて、2項に「優先」すべきとされるものとして、扶養義務者の扶養と他法扶助がある。これは「優先」するが生活保護を開始する要件ではない。ここは、きちんと押さえておくべきである。なお、戦後すぐに作られた生活保護法においては、「扶養義務者が扶養をなし得る者」などは生活保護の対象としない「欠格事項」が書き込まれていた。しかし、1950年改定によって削除されたのである。この歴史を知っていればなお、今回の騒動には何ら根拠がないことは明らかである。
さらに言えば、今回の福島第一原発事故のような場合はどうか。資産は被災地に現にある。しかし、命からがら逃げてきた場合、要件を欠くなどということは言えないし、3項の急迫保護を使うことも何ら問題はない。

第五条  前四条に規定するところは、この法律の基本原理であつて、この法律の解釈及び運用は、すべてこの原理に基いてされなければならない。

さらに念押しの5条である。
法令は、序盤に目的や基本が書かれていることが通例である。
にもかかわらず、この5条の記載をあえてしたのはなぜかと言うことを考えなければならない。
つまり、生活保護という人間の生活を支える最低線の制度であるから、まかり間違えば、取り返しのつかない事態を引き起こす。
現に、「おにぎりが食べたい」と書いて餓死した人がいたではないか。亡くなってから何日もたって異臭がしてから気づかれたという「孤独死」もあったし、一人暮らしでなくても「孤立死」を招くこともあった。

今回の騒動で、もっともほくそ笑んでいるのは、生活保護費の出費を押さえ込みたい輩であろう。
はっきりいえば、財界・経営者とそこから金をもらう政治家である。
社会保障のカネを削り、法人税を下げさせ、国家予算を自分たちの思い通りにできる国にする。雇用を流動化させ、首切り当然の制度を作り、賃下げ万歳の日本を作る。

そんな壮大な夢物語(私たちにとっては悪夢)の序曲とならないよう、今回の騒動で踊らされてはならない。



ちなみに、それでも納得できないというならば、こちらを読んでもらいたい。
http://www.asahi.com/business/update/0515/TKY201205150579.html

りそなは18年ぶりの納税である。
こちらは、なぜりそなの代表が出てきて記者会見して、「考えが甘かった」と謝罪しないのか。
ダブルスタンダードと言うべきではないか。
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