生活保護受給者210万人突破の記事に

芸能人の親族の生活保護で注目を集めている生活保護制度。

「生活保護受給者210万人突破 9カ月連続で最多更新」 東京新聞から
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012061301001195.html


しかし、これだけ生活保護を受けている人が増えているのは、安定した雇用が確保されていないためです。

ハローワークは混雑しています。

50歳代の人が失業すると、再就職は大変困難です。
20歳代だとしても、安定した雇用を探し出すことは困難です。

失業すると、短い期間と大変少ない失業手当。
職業訓練もお粗末です。


国民年金は満額でも6万円台。
どうやって生活するのでしょうか。


それにもかかわらず、生活保護の捕捉率は20%程度にとどまったまま。
つまり、所得でみれば、生活保護を受けられる5世帯に1世帯程度しか生活保護を利用できていません。

生活保護については、確かに不正な受給はダメです。また、暴力団の資金源となることも防がなくてはなりません。当然、貧困ビジネスも論外です。

だからといって、福祉事務所による門前払い(「水際作戦」)によって、餓死や孤立死が生じたのであれば取り返しのつかない「殺人事件」となります。

ごく一部の例外的事例を取り上げて、生活保護制度から国民を遠ざけたり、軽々に基準を引き下げてはなりません。

Tag:生活保護制度  Trackback:0 comment:0 

生活保護は一般化せずに具体的に考えてください

生活保護に関する誤解がたくさんあります。

若いから受けられないとか。
親族がいると迷惑をかけるとか。
選挙権がなくなるとか。
おにぎりを食べられるかどうかのぎりぎりの人しか受けられないとか。
仕事をしているから受けられないとか。

これらは全部ウソです。

生活保護制度を正しく理解してください。


まず、親族からの援助についてです。
生活保護に関して、身内からの援助額は収入認定され、その分保護費が減額されます。生活保護が受けられなくなるわけではありません。また、実際の援助額も援助者の生活変動によって変わることがあるので、そのことは役所にきちんと申告してください。実際に支給される保護費が変動します。
とにかく、最低限の生活を保障することがこの制度の目的なのです。

逆に考えてみましょう。
「扶養義務」を果たしてくださいと役所から照会が来たとしましょう。簡単に言ったら、あなたの今の収入から月9万円ほど引いて生活してみてください。それが簡単にできますか。
離れて暮らすよりも一緒に暮らす法がお金がかかりません。あなたの住まいにもう一人、人を増やして、その人用の部屋を増やしてみてください。どうでしょうか。

一般の庶民にとって、そう簡単な話ではないのです。

「国の世話になるのは嫌だ」という人もいます。
生活保護は国の世話になるのではありません。税金は、みんなで作り出した富の一部を集めただけ。大変なときにそれを活用しているだけです。保険と一緒です。だから、最後まであきらめないでください。そして、その苦しさをまた誰かにさせないように行動してほしいと思っています。
もしくは、その考え方を変えなくても結構ですが、他人にその考え方を押しつけるのは間違いです。

「生活保護が増えている」というのなら、その原因を直視しましょう。
基準引き下げや受給抑制は、ただ問題を深刻化させ先延ばしにするだけです。
親族との関係も人それぞれです。
「事実は小説より奇なり」というとおり、常に自分と同じではないし、想像できないようなこともあるのです。
でも実際にあり得るし、とても極端な例もあるでしょう。つまりは個別に判断しなくてはなりません。絶対に譲れない線は、誰もが命を落とさずにすむこと、健康で文化的な生活ができること。この最低条件は絶対です。

Tag:生活保護制度  Trackback:0 comment:0 

生活保護問題対策全国会議が声明「扶養義務と生活保護制度の関係の正しい理解と冷静な議論のために」

生活保護法の改正まで取りざたされています。
なぜリーマンショックから年越し派遣村ができた直後に、これだけの議論を起こさずにひっそりとひっこんでいるのでしょうか。
あのとき多くの人が不幸のどん底に突き落とされました。
一日も早く生活再建ができるようにすべきだったのではないでしょうか。

しかし、今回は芸能人の特殊なケースを一般化して、今回の件をことさらおもしろおかしく報道しています。
それに乗っかって、福祉を切り捨てて、別のことにお金を使いたい政治家が悪のりしています。

今回の件を正しく理解するためには、生活保護問題対策全国会議が5月30日付で発表した「扶養義務と生活保護制度の関係の正しい理解と冷静な議論のために」が最も正確に捉えています。

同声明では、民法上の扶養義務について、生活保護上の扶養義務の取り扱い、先進諸外国との比較と触れ、最後に扶養義務の強調は「緩慢なる死刑」と警告しています。ぜひご一読ください。

Tag:生活保護制度  Trackback:0 comment:0 

テストに出る生活保護法 ここだけは押さえたい基礎編

それにしても、河本準一さんら芸能人を利用した生活保護たたきがひどすぎます。

今回は、扶養義務について触れてみます。
民法の扶養義務は、相対的扶養義務と絶対的扶養義務があります。
絶対的扶養義務には、保持義務と扶助義務があります。
保持義務とは、同一世帯の親子で子どもが未成熟の時の関係で、一片のパンを分け与えてでも扶養する義務があることを指しています。しかし、芸能人の今回の件ではこれが当てはまらない扶助義務者です。
扶助義務者とは、まず第一に自分の生活を第一に考え、その上で当事者間の話し合いによって扶養援助関係を決めるものです。今回の芸能人の件では、これはきちんと行われています。
話し合いがつかない場合は、保護実施期間が家庭裁判所に申し立てをします。しかし、今回の件ではきちんと話し合いもされており、福祉事務所も扶養する金銭の援助額を了承しているのです。
援助額を正しく収入申告をしていれば返還する必要は全くありません。もし、保護費を返還するというのであれば、それは受給者本人が行わなければならないのです。扶助義務者である芸能人が返還するというのは、あまりにも意味不明です。

そもそも、生活保護を利用している世帯の多くは、親族も貧困世帯が多い。
さらに言えば、親族との交流もなく、孤立無援となっている場合もあります。
今回の芸能人のケースはまれなケースであり、これを一般化すれば新たな水際作戦となることは明白です。

日本の生活保護補足率は20%台であり、扶養義務の強要は、この補足率をさらに低下させ、「貧困死」を増やすだけでしょう。さらに、生活保護を受給しているということはプライバシーに関わります。仮に、国会議員が初めて実名を出したのだとすれば、公務員の守秘義務に反するので、これこそ断罪すべきです。

生活保護を受給者が急増した理由は何でしょうか。
報道機関はきちんと考えてもらいたい。
受給者の急増は、不正受給の急増でしたか?
答えは否です。

生活保護世帯の急増は、雇用の崩壊と高齢化の進展に対して、雇用保険や年金等の社会保障制度が貧弱だからです。「格差と貧困」をなくす。あの派遣村の光景を忘れてはならないのです。
そしてさらに、今年に入って「孤立死」が目立ちました。この日本で、なぜ餓死したり、凍死したりしなくてはならないのでしょうか。この状況を放置すれば、社会が不安定化することは必死です。

Tag:生活保護制度  Trackback:0 comment:0 

いちおう論点は整理しておきたい 生活保護制度

さて、芸能人の親族が生活保護を受けていたとして、いろいろと騒がれることとなった生活保護制度についてである。
ちなみに、今回の件は「不正受給」では、まったくない。

まず、生活保護法について見てみることにする。

第一条  この法律は、日本国憲法第二十五条 に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

生活保護制度の根拠は憲法25条である。そして、その目的は2つである。
最低生活の保障と自立助長である。
とはいえ、年金が少なく暮らしが成り立たない高齢者に対して、これから「自立」は困難というものであるが。

第二条  すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

誰でもが「要件」を満たす限り、生活保護制度を利用できる。
なお、「国民」ではないものでも、国内にいる限り生活保護を利用できることは当然である。

第三条  この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

これは憲法25条から導き出される。
「健康かつ文化的」でなければならず、当然時代の進歩によって変化するものであろう。

第四条  保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
2  民法 (明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。
3  前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。


さて、今回の騒動ではこの4条をきちんと理解しないと、「不正受給」などという誤ったことを言い出すことになる。
「要件」は4条1項にあるとおり、資産や能力などを使ってもなお生活が維持できないという場合である。したがって、今回の騒動においては、芸能人の母親のもつ資産や能力が活用されたか否かのみで判断される。
続いて、2項に「優先」すべきとされるものとして、扶養義務者の扶養と他法扶助がある。これは「優先」するが生活保護を開始する要件ではない。ここは、きちんと押さえておくべきである。なお、戦後すぐに作られた生活保護法においては、「扶養義務者が扶養をなし得る者」などは生活保護の対象としない「欠格事項」が書き込まれていた。しかし、1950年改定によって削除されたのである。この歴史を知っていればなお、今回の騒動には何ら根拠がないことは明らかである。
さらに言えば、今回の福島第一原発事故のような場合はどうか。資産は被災地に現にある。しかし、命からがら逃げてきた場合、要件を欠くなどということは言えないし、3項の急迫保護を使うことも何ら問題はない。

第五条  前四条に規定するところは、この法律の基本原理であつて、この法律の解釈及び運用は、すべてこの原理に基いてされなければならない。

さらに念押しの5条である。
法令は、序盤に目的や基本が書かれていることが通例である。
にもかかわらず、この5条の記載をあえてしたのはなぜかと言うことを考えなければならない。
つまり、生活保護という人間の生活を支える最低線の制度であるから、まかり間違えば、取り返しのつかない事態を引き起こす。
現に、「おにぎりが食べたい」と書いて餓死した人がいたではないか。亡くなってから何日もたって異臭がしてから気づかれたという「孤独死」もあったし、一人暮らしでなくても「孤立死」を招くこともあった。

今回の騒動で、もっともほくそ笑んでいるのは、生活保護費の出費を押さえ込みたい輩であろう。
はっきりいえば、財界・経営者とそこから金をもらう政治家である。
社会保障のカネを削り、法人税を下げさせ、国家予算を自分たちの思い通りにできる国にする。雇用を流動化させ、首切り当然の制度を作り、賃下げ万歳の日本を作る。

そんな壮大な夢物語(私たちにとっては悪夢)の序曲とならないよう、今回の騒動で踊らされてはならない。



ちなみに、それでも納得できないというならば、こちらを読んでもらいたい。
http://www.asahi.com/business/update/0515/TKY201205150579.html

りそなは18年ぶりの納税である。
こちらは、なぜりそなの代表が出てきて記者会見して、「考えが甘かった」と謝罪しないのか。
ダブルスタンダードと言うべきではないか。

Tag:生活保護制度  Trackback:0 comment:0 

今日のつぶやき

人気ブログランキングへ
最新コメント
QRコード
QR
検索フォーム